スペシャリティコーヒー詳細説明

0、スペシャリティコーヒーについて

 コーヒーのおいしさは「素材である生豆の品質」によると昔から言われた来ましたが、その本質がきちんと理解されていたわけではありません。世界中に流通している大部分のコーヒーは、産地の輸出規格に基づいてはいるものの、それが香味の良さを確実に裏付けするものではありませんでした。

 世界中で飲まれているコーヒーの大部分は、今なお、「誰が、どこで、どんな品種を、どのように栽培し、精製したのか」不明です。農産物としてのトレサビリティが明確ではなかったからです。

 コーヒーは、ワインのように栽培から精製に関するメソッドが確立されているとは言いがたく、その情報も非常に少ないのが実情です。コーヒーのテイスティングも、これまでは欠点の香味を見つけることが目的で、産地によるキャラクターを見出すやり方が確立されつつあるのも、ここ3−4年の最近のことです。品質や香味を判断するための世界基準がない中で、生産国、消費国共に、異なったものさしで見てきたわけです。

 2000年に入り、コーヒーの品質に対する価値観は大きく転換しました。

 世界のコーヒーマーケットは、アメリカを中心にスペシャリティコーヒーという概念で動き始めています。日本のマーケットも、やっと「スペシャリティコーヒー」という概念に目を向け始めましたが、まだまだ遅れをとっています。ここ数年は「コーヒーの価値の大転換期」であり、この急激な動きについていける世界のコーヒー関係者はまだ少ないと感じています。スターバックスコーヒーは、現在7000店のショップを持ち、2005年には世界に1000店以上出店する計画があるようです。

 その生豆の使用量は膨大で、このまま急成長していけば、数年先には日本のレギュラーコーヒーの消費量を抜いてしまうかもしれません。スターバックスコーヒーは世界中の産地及び消費国で強力な影響力を持つにいたっています。日本の多くのロースターは、スペシャリティコーヒーを心に理解し、日本のマーケットにきちんと浸透させていくべきと考えます。
 現在、スペシャリティコーヒーは明確にひとつに定義できるものではありません。

コーヒー貿易の多くは、第三世界開発途上国)が精算し、先進国が消費する典型的な南北貿易の構造です。一部の豊かな農園を除き、世界中に生活に困窮する農民が多くいます。また、生成による川の汚染など、生産と環境の調和も問われてきています。
NPONGOなどの活動が社会的に認知され、フェアトレード等の品質と利益還元を伴う社会性のあわさったコーヒーもスペシャリティの概念の中に入り込んできています。今後は「品質」という概念だけではなく、生産国の自立援助や環境配慮といった観点からコーヒーを見ることも重要になっていくでしょう。
 スペシャリティコーヒーの、品質による商品差別化の根底には、普遍性を伴う理念が重要となるわけです。したがって、スペシャリティコーヒーは、品質や香味のみでなく企業の理念の表明という側面も問われることになるでしょう。

 日本はアメリカに次ぐ、スペシャリティコーヒーの輸入国ですが、まだまだプロモーションで遅れをとっています。コーヒーの世界では、トレサビリティ、サスティナビリティ等新しい概念が次々うまれ、また品種は改良され、精製方法も多様化し、香味そのものも根底から覆される状況下にあり、既存の「コーヒー本」は役に立たなくなりつつあります。

1、スペシャリティコーヒーの時代

 これまで、世界中で流通してきた多くのコーヒーは、生産地や品種が異なるものが混ぜられたその国の輸出規格がベースとなっていました。多くの場合そこには「コーヒーの香味」という観点と明確な「品質基準」が欠落していました。例えば、グアテマラSHBは、HBより標高が高いことを意味し、コロンビアのスプレモ(SP)はエクセルソ(EX)に比べ粒が大きおいことを意味し、タンザニアAAはAやABに比べ粒が大きく、欠点が少ないということを意味する生豆の輸出規格ですが、その基準は産地や農園や品種を特定するものではなかったのです。
 これまでの輸出規格に対し、より厳密な品質の基準を設け、その香味によりコーヒーを評価していこうという機運が2000年頃より芽生えました。その動きがスペシャリティコーヒーのムーブメントです。
 スペシャリティコーヒーは、欠点豆の混入がほとんどなく、「各産地に基づく明確なキャラクターを持つコーヒー」を意味しますが、これまで多くは流通していませんでした。各産地の豆が混ぜられ、各農園の豆が混ぜられ、品種の異なるものが混ぜられ流通してきた商品がコーヒーだったからです。

 私達日本人は、お米であれ、お茶であれ、産地や品種や等級を意識して食文化を発展させてきました。コーヒーは残念ながらこの部分が明確になっていなかったわけです。

コーヒーは単に「ブラジル」や「グアテマラ」で良かったわけです。しかしこの「ブラジル」や「グアテマラ」というコーヒーは何を意味するのでしょうか?「どこで、誰が、どんな方法で作ったのか?」「なぜこのような香味なのか?」ということは問われることがなく長い間流通してきました。

1−2、スペシャリティコーヒーの時代(21世紀以降)

 しかし、当たり前のことですが2000年に入り、少しずつ世界の先端では「品質の良いコーヒー」「おいしいコーヒー」が問われはじめました。低価格のコーヒーでは「マーケットは成長しない」。マーケットの成長は「良い品質のコーヒーにはより高い価格を出す」という考え方が広がり、少しずつスペシャリティコーヒーという概念が普及しはじめました。先進的なロースターは、農園や品種を特定したり、精製や選別を指定したりし、より明確なキャラクターを求めはじめました。そこから、これまでとは違う新しい香味の発見が無限に広がってきました。2000年という時代はまだその「産声」をあげた状態で、2001年に入り少しずつ、スペシャリティコーヒーについてより深い模索がなされてきました。
 スペシャリティコーヒーの概念は完成されたとはいい難い麺がありますが、今後しばらくは、世界のコーヒーはこの概念をベースに発展していくことになるでしょう。
 スペシャリティコーヒーを、香味という観点から見た場合には、新しい評価基準が必要になります。それがカップ基準の得点です。コーヒーの品質は見直され、主観から客観的な評価の方向に向かいつつあります。「うちのコーヒーはおいしい」という主観的評価で済んだ時代は終わりを告げ、「このような理由でおいしい」という客観的な評価の時代に入ったわけです。したがって、世界のコーヒー業界は、ここ数年「劇的な変貌」をしつつあり、今まさにコーヒーは「新しい時代」を迎えたわけです。

2、スペシャリティコーヒーの歴史

 世界中で流通しているコーヒーはディスカウントコーヒーと高品質コーヒーが混在しています。しかし、コーヒーマーケットは、その境界があまりに曖昧なマーケットでした。価格競争による低品質化が消費の停滞等を生み出し、おいしいコーヒーマーケットへの見直しの機運がアメリカに生まれました。ビーツコーヒー&ティースターバックスコーヒーが新しいマーケットを切り拓いてきました。米国においてはここ数年の高品質コーヒーの使用が、コーヒーの消費を拡大させてきました。このムーブメントが日本に押し寄せているわけです。しかし、その当時のスペシャリティコーヒーの概念は、まだフレーバーコーヒーであったり、カプチーノであったりした幼稚な時代でした。アメリカにおいても2000年以前にはまだスペシャリティコーヒーという言葉そのものがマーケットでは使用されていませんでした。2001年頃から、カッピングフォーム等が少しずつ整備され始め、ここ数年間で急激な変化を遂げています。

 日本の多くのコーヒー関係者は、この急激な動きを理解できず、また動きがあまりに急激であったためについていくことが出来ない状態でした。ニューヨークの相場を基準にして流通していたコーヒーとは全く別の基準がこのときうまれました。「良いコーヒーは高く買う」「ほしいコーヒーにはそれなりのプレミアムを支払う」という新しいマーケットがうまれたわけです。このような生豆の買い方は、日本のコーヒーマーケットでは考えられなかったことでしたので、いまだに多くのコーヒー関係者はこのことを理解できずにいます。

スペシャリティコーヒーは、ニューヨークの相場の2−3倍は当たり前で、ものによっては奪いあいになります。たとえば、後述するケニアスペシャリティコーヒーのAA.TOPであれば、その95%はアメリカに流れてしまいます。これらのコーヒーは、価格が高く、日本への入荷は例外中の例外となりますので、多くの日本のコーヒー関係者はその香味を知らずにいる状態とも言えます。一般の消費者の口には入る術はありません。

3、スペシャリティコーヒー運動の変化

スペシャリティコーヒーの運動は、少しずつ進化し、利潤の追求以外の社会的貢献や氏名という側面へと発展しています。品質を追求するという方向性だけではなく、レインフォレスト・アライアンスのような環境に配慮する方向性、ウスカフェのような品質の認証の方向、フェアトレードのような生産者への資金的援助等多様な活動と連動する方向で動き始めています。

しかし、世界的に見て、スペシャリティコーヒーの基準は、まだワインの評価基準のように厳密には確立されておらず、不明瞭な部分が多くあります。ワインのソムリエには勉強のプログラムがありますが、珈琲にはまだまだ研究実績や情報が不足しています。農業としてのテクニカルな側面も各国の横の情報交換はなく、現場を見ると各産地多様な方法論があり、検証がされていないという状況です。

生成のプロセス一つを見ても、高度なところと劣悪なところが混在し、またフルウォッシュドからアクアパルパーの使用もあり、一様ではありません。栽培や生成の方法の多様性が、香味との関連で検証されてきた歴史がないのが実情です。生産国の各コーヒー研究機関は、量産や病害虫対策に目が行くことが多いようです。「より良い品質、より良い香味」を消費国が求めていくことにより、今後何十年かかけて生産現場における香味の研究が進んでいくことを望みます。

4、スペリャリティーコーヒーピラミッド

最上位、オークショングレード
上位、特記すべきスペシャリティグレード
中位、プレミアムグレード
中下位、交易グレード
下位、ローレベルグレード

5、日本のスペシャリティコーヒーマーケット

スペシャリティコーヒーは、通常の輸出栽培の最高の豆に対して、産地、農園、品種等、トレサビリティが明確なコーヒーとなるため、日本の流通マーケットに多くは流れません。

データがなく実際にどの程度流通しているかはわかりませんが、大まかにはレギュラーコーヒーの5%程度と前述しました。

スペシャリティコーヒーといっても、同じ産地で、香味や価格に差があります。乱暴な言い方ですが、その品質と香味の良さはほぼ価格に比例しています。これまでの経験から産地のキャラクターの明確な豆は概ね価格も高いということになります。

他方、業務用コーヒーについては、価格競争が激しくディスカウントマーケットになっています。コーヒー使用の多いファミリーレストラン、ファーストフード、ホテル等の多くは、低品質の価格の安いコーヒーの主要なマーケットとなっています。レギュラーコーヒーは、大手ロースターの寡占化の方向性にあり、中小ロースターの多くは、喫茶店の衰退及び大手フランチャイズ店やバールのシェア拡大に伴い、マーケットシェアを減少させています。価格競争が激しく、品質の良い価格の高い豆は使用されにくい市場構造があります。

小売マーケットについては、定価交代から高価格帯まで幅広く販売されていますが、ディスカウントからコモディティ商品中心であることに変わりはなく、一部でプレミアムコーヒーが販売されているのみです。スペシャリティコーヒーの流通はまだ少ないと考えられています。

数年前、ペットボトルに押され、若者層のコーヒー離れが著しい時期に、スターバックスコーヒーが日本に参入し、新しい顧客を想像しました。スターバックスコーヒーをはじめとし、アメリカのスペシャリティコーヒームーブメントの影響下、一部ロースターと一部のビーンズショップが、スペシャリティコーヒーを使用しています。

ホールセールマーケットより、過程用マーケットでスペシャリティコーヒーは広がる可能性が高く、今後、マーケットは少しずつ拡大していくと思われます。

日本の豆の流通はコーヒーの品質をより厳格に評価する時代に入りつつありますが、日本における流通は、生豆の商品グレードの区分が明確になっていません。小売マーケットはビーンズショップ、ロースターの小売ショップ、さらにはディスカウンターと入り乱れてきていますが、商品の流通は単純かつ画一的なままです。商社ー問屋ーロースター、ビーンズショップという流通構造に大きな変化は見られません。単一の流通経路において、ビーンズショップとディスカウントショップが同じ商品を扱うというケースさえ目立ち始めています。商品の差別化がされず、みんなが同じような生豆を使用するという構造に変化がありません。商品のマーケティングが未整備で、コーヒー業界が、これまできちんとした商品情報を提供してこなかったため、消費者は何が良いのか判断基準を持てないでいる状態だと考えます。日本でスペシャリティコーヒーのマーケットを確立するためには、スペシャリティコーヒー専門のトレーダーができることが望ましく、またコーヒー業界がコーヒー豆についての正確な情報を提供する必要性があります。

6、スペシャリティコーヒー協会のカッピングの方法

用意するもの
テイスティング用ロースト豆
テイスティング用グラス
・スプーン(スープスプーン大の丸みを帯びた真円に近いもの)
・スプーンを洗うグラス
・ボウルなどの容器

6−1、サンプルの準備

・サンプルはカッピング前の24時間以内にローストし、少なくとも8時間置く
・ローストの度合いはライトからライトミディアム。色味識別器の値としては、豆のままの状態で58、粉の状態で63
・ロースト時間は8分以上12分30秒以内。焦げ付きやチッピングが明らかでないこと
・サンプルはすぐに空冷すること(水冷は不可)
・サンプルの温度が室温まで下がったら、密閉容器または透過性のない袋に入れてカッピング時まで補完し、空気との接触を最低限に抑え、汚染を防止する
・サンプルは冷暗所に保管する(ただし、冷蔵または冷凍庫は不可)

6−2、適切なサンプルのための比率

・理想的な比率はコーヒー8.25gに対し、水150ml
・カッピンググラスに入った水の量を決定し、コーヒーの量をそれにあわせて調整する

6−3、カッピングの準備

・サンプルはカッピングの直前に挽き、挽いてから15分以内に水を注ぐこと。これが不可能な場合は、サンプルに覆いをし、挽いてから30分以内に水を注ぐこと
・サンプルはあらかじめ規定の比率に即して計量し、カップあたりの適切な量にする
・粉の粒はペーパードリップ向けの標準的なサイズよりもわずかに粗めにする。サンプルのユニフォーミティ(均一性)を評価するため、同一のサンプルから少なくとも5杯用意する
・まず十分な量のサンプルを用意して、各カップのサンプルを順次挽きカッピンググラスに入れていく。こうすることで、サンプル全体のばらつきなく各カップに用意されるようにする。

6−4、水の注入

・カッピングに使用する水は正常で匂いがないものでなければならないが、蒸留や軟化したものは不可。理想的な全溶存固形物量(TDS)は125〜175mlであるが、100mg/L未満または250mg/L超は不可
・サンプルに注入される湯は新鮮で、約93度とする
・湯はコーヒー粉に直接かける。カップの縁に来るまで注ぎ、粉全体が浸るようにする
・コーヒー粉はかき混ぜずにそのまま3〜5分置いた上で評価を始める

7、サンプルの評価

・サンプルはまずローストカラーについて視覚的に点検し、結果をシートにマークする。これをフレーバー属性評価の際の参考にしても良い。

7−1

サンプルを粉に挽いてから15分以内に水を含まない状態でサンプルのフラグランスを評価する。

7−2

お湯を注いだ後、クラスト(液体の表面に浮かぶコーヒー粉の膜)を小技すに3分以上5分以内そのまま置く。3回かき回してクラストを壊したあと、スプーンの背で泡をよけながら軽く香りをかぐ。お湯を注ぐ前と後の評価に基づき、フラグランス/アロマの評点をフォームに記入する。

7−3

サンプルの温度が約70度に下がったら(お湯を注いでから10−20分)、液体の評価を始める。口腔内、特に舌と上顎にできるだけ液体が広がるように吸い込む。サンプルの温度が下がっていくので、異なる温度で様々な属性の強度を評価する。フォームの数値線(10段階)上でサンプルの評点に対応する目盛りにマルをつける。評価を変えるときには目盛りに再度印をつけ、当初の印から最終の印に向けて矢印を引く。液体の温度が17度になったら評価を止め、当該属性の右上にある四角い枠内に最終的な評点を記入する。

7−4

サンプルの評価が終わったら、すべての評点を合算し、最終評点を右上の四角い枠に記入する。

 


8、カッピング基準

一般的に使われる形容は以下のようなものがあります。

「素晴らしい、優秀な、上品な、豊かな、抜群の、洗練された、好ましい、優れた、贅沢な、比類なき、気持ちの良い、調和した、バランスの良い、飽きの来ない、オーソドックスな、ひど良い、出しゃばらない、控えめな、親しみやすい、デリケートな、いきいきした、面白い、ホッとする、貧弱な、抵抗のある、飽きる、普通の、何の変哲もない、貧弱な」

8−1、香り、アロマについて

カップにその産地特有の香り、個性的香りがあるかどうかが重要なポイントになります。低品質の生豆には際立った、すぐにそれと分かるアロマはありません。純粋にそこに含まれるアロマをそれぞれ識別していきながら判断します。非常に重要なポイントで、香りの酒類、質と強弱に二面から見ます。

香りの種類と質を表現する形容は以下のようなものがあります。
「上品であるか違和感を感じるか、スパイスのような、ハーブのような、ナッツのような、カラメルのような、バニラのような、花のような、果実のような、ワインのような、草のような、枯れた、青臭い、発酵した、カビ臭い、土っぽい、焦げた、煙っぽい、

香りの強弱を表現する形容は以下のようなものがあります。
「豊か、貧弱、上品、違和感があるかないか」

8−2、アシディティ(爽やかさ、酸味)

コーヒーには、苦味、酸味、渋み、甘みなどがありますが、最も重要なものは苦味ではなくて酸味になります。

アシディティとは酸を意味する、アシッドの派生語ですが、ファーストウェーブ以前のコーヒーファンにおいては、古くなった豆を「酸っぱい」と表現する向きが多く、現代的なスペシャリティコーヒーの酸味とは全く別物であるにもかかわらず、混同されやすいので注意が必要です。

主にはその後味の嫌味に正反対の違いがありますが、もちろん舌先での酸味にも質的な差があり、評価としてはネガティブとポジティブの差です。

サードウェーブのスペシャリティコーヒーにおいて、酸味は白ワインと同じように重要です。

高知で完熟した実は、酸を蓄え、その酸味がローストによりデリケートな味や甘みを生み出します。

酸味を表現する形容は以下のようなものがあります。
「なめらかな、穏やかな、鮮やかな、爽やかな、果実のような、やわらかな、甘いような、りんごのような、レモンのような、オレンジのような、もものような、マンゴーのような、ヨーグルトのような、きつい、刺激のある、酢のような」

8−3、ボディ(コク、喉越し、ボディ感)

味の種類と言うよりは、口中でも奥の方、喉越しで感じる香味のことをいいます。喉越しであるということから、全体印象と間違われる方も多いですが、そういうわけではありません。
間違った印象説明では、水っぽいか、バターの様な粘りを感じるかという、マウスフィールに限定して説明してあることもあります。

改良品種の雑味のある重さと、在来種のコクは根本的に異なると言われていましたが、最近ではエチオピアの在来種で爽やかさを演出するものも多くあります。また、コクのあるほうが香味の複雑さは増す傾向にあります。

全体にはボディの重さ軽さとして評価されることも多いです。

ボディを表現する形容は以下のようなものがあります。
「脂っこい、バターのような、クリームのような、中庸な、スムースな、きめ細かな、なめらかな、豊かな、ヘビーな、絡みつくような、絹のような、ベルベットのような、水っぽい、薄い、軽い、オイルのような」

8−4、アフター(後味、余韻、アフターテイスト)

コーヒーが喉越しを通り過ぎた後に口中全体で感じる香味です。さらには少量飲み込んだ後に、口の中の残留物を鼻腔から感じる香味です。舌にどの様な香味が残るのか、持続するのかを意識するとわかりやすくなります。

アフターを表現する形容は以下のようなものがあります。
「長く続く、響き渡る、まろやかな、フレッシュな、甘い、すぐ消える、渋みが残る」

8−5、クリーン

ワインと共通する感覚です。味がクリーンで濁りのない感覚は、丁寧に生成された良質のかつ鮮度のいい生豆からしかうまれません。また、このクリーンな感覚は、本来在来品種の豆の特質でもあります。

ペーパードリップ抽出では多くの油分をペーペーフィルタが吸い取ってしまうため、このクリーンカップを感じやすくなります。

クリーンさを表現する形容は以下のようなものがあります。
「きれい、汚れがない、透明感がある、濁っている」

9、マネーアルベス氏のカッピング基準

9−1、フレーバー
9−2、アフターテイスト

サンプルのコーヒーを吐き出した後に口中にある感覚の分析

9−3、酸味

すべてのコーヒーになければならないスッキリした感覚

9−4、ボディ

サンプルのコーヒーを吐き出した後に口中に残る油脂性と粘性の感覚

9−5、甘み

客観的な分析の対象となる主要な味覚で、そのコーヒーのサンプルに甘みがあるかないか

9−6、均一性

これも客観的な要素で、コーヒーをカッピングする際に通常使用する5杯が全て同種かそうでないか

9−7、クリーンカップ

最後の客観的要素で、そのコーヒーが完全にクリーンかどうか

9−8、バランス

フレーバー、アシディティ、ボディの間の相対的関係の分析

9−9、総合

「カッパーのポイント」ともいwれ、そのコーヒーに対するカッパーの感想

現在のフォーマットは以前のものよりも少し長くなっています。以前は、カテゴリーは6つしかありませんでしたが、コーヒーを分類するために項目がかなり増えています。さらに、フォームに依拠してコーヒーに対するカッパーの本当の評価はどうだったのか判断できるようになったのもこれが初めてです。これは極めて重要なことです。

 というのも、私たちはプロのカッパーがコーヒーのカッピングを通じて伝えたかったことは何かを知りたいからです。そのコーヒーがどんな味だったのか明確に説明できないフォームなら、それはよく出来たフォームとは言えません。

 私たちが重要だと考えたことがもうひとつあります。私たちの出発点はこうでした。カッパーが自分自身ですべてのポイントを与えるのではなく、カッピングの最後にフォームが自動的にポイントを加算するなら、そのフォームは血管があるか、あるいは未完成だということです。したがって私たちは、スペシャリティコーヒー協会のフォームを100点満点のシステムとし、カッパーが自分自身ですべてのポイントを与えることにしました。

このフォームがコーヒー業界全体で利用されることはまずないでしょう。業界の大半が扱っているのは一般的なコマーシャルコーヒーであって、スペシャリティコーヒーではないからです。このフォームをコマーシャルコーヒーに適用するのは「やりすぎ」で、もしそんなことをしたら、大半のコマーシャルコーヒーは許容されなくなってしまいます。しかし、スペシャリティコーヒーを分析するには最適なフォームだと考えています。

 このカッピングフォームを例えばワインのテイスティングに使われているフォームと比べてみた場合、コーヒーにはワインのような20もの香味属性のカテゴリがないのがすぐにわかります。5年後には、コーヒーとその地域の全体像がもっと正確に浮かび上がるような別のフォームも作成されているでしょう。しかし、それまではこのフォームが私たちの目標の達成に十分役立ちます。